22' リニア線に伴う山梨送電系統再編成工事観察


   

   JR東海で建設が進められているリニア中央新幹線に関し、送電線工事も活発になってきました。
   超電導リニア方式の列車が時速500kmで走行した場合には3万5000kW の電力を消費する様です。
   仮に1時間5本が運転した場合、約27万kwが必要となり、とても現在の送電設備では供給する事が出来ません。
   大阪開業時は1時間8本となり、約74万kwが必要との事です。
   ちなみに原発1基の出力は平均100万kwです。

   リニア新幹線は1980年代から計画され、1990年代には山梨に試験線が完成しています。
   送電系統もこれを見越して、外輪線である西群馬幹線の1000kv化や東山梨変電所の場所等今後の事を考えてきました。
   中部電力でも500kv外輪線である愛岐幹線の搬送容量を極大化し、恵那分岐線で電力供給する事を考えています。

   これだけ電力が必要との事で、リニア中央新幹線の変電所へ供給する送電線は専用線が必要になります。
   従って、電線路の新設または既設電線路にて併架が必要になります。
   この事により1次変電所は電力系統の再編成が必要になります。
   
   東山梨変電所の西側にある御坂付近は境川変電所、高下変電所に供給する為、電線路新設します。
   急峻な山の中に御坂線と天竜南線が通っており、更なる電線路新設は大きな作業を伴います。


  【再編成前の154KV系統】
                                
                             
 

  【再編成後の154KV系統 考察1】
    御坂線移設後、御坂線のルートを流用し4回線の鉄塔に建て替え
    道路に近く工事が比較的容易
   
     


  【再編成後の154KV系統 考察2】
    天竜東幹線を89号まで4回線の鉄塔に建て替え そこから御坂線で使用した10号鉄塔まで新設
    大きな迂回が必要な事と山の中で長径間な場所で工事が非常に大変
    10号鉄塔は両側の高低差が大きくなってしまい基礎浮き上がりを更に考慮する必要があり、張力方向も変わるので建て替えが必要と思われる。

     

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  2022年8月 河口湖、富士吉田方面へ行った時、御坂に寄り道する事をお願いし、状況確認と道端から撮影しました。

  天竜南線の東海高下/藤野木線4回線建て替え工事は鉄塔93号まで完成し、天竜南線は運用していました。
  但し、東海高下線(上段)は新鉄塔のみ架線されています。
  御坂線は別ルートの工事が行われています。

  
  国道137号藤野木付近で撮影

  

  御坂線の移設による新しい電線路の工事は進んでいました。
  頂上部分の鉄塔で東山梨変電所方面から架線されていました。
  電線は既設御坂線同様に2導体でした。
  ジブクレーンは役目を終えたようです。

  


  頂上より御坂方面は鉄塔はほぼ完成しています。
  この鉄塔はクライミングクレーンあり、組み立て完了直後と思われます。
  横に索道があり長く高低差がありました。
  

  


  3番目の鉄塔は組み立てが完了していました。
  下に索道が見えます。

  

  下部に位置する鉄塔で金川、国道137号を跨ぎます。
  河川からの地上高が60メートル以上あるので紅白の鉄塔になっています。

  

  国道137号を跨ぎ、既設御坂線に接近した鉄塔です。
  次の鉄塔で既設御坂線と接続する様です。
  既に碍子と架線工事用具が取り付けられています。
  
  

  御坂線工事の全体像
  400メートル以上の高低差があり、ルートもかなり厳しい所を通っています。
  右奥に見える鉄塔は既設御坂線7号です。

  

  上黒駒から天竜南線を建て替えした東海高下線を撮影
  工事は終了し、植栽も完了していました。

  

  東海高下線24号
  ここで東海高下は分離します。

  

  上段が東海高下線
  下段が藤野木線
  藤野木線は天竜南線として運用している様です。
  東海高下線は最終鉄塔が108号の様で芦川〜上九一色付近を通ります。

  

  上の鉄塔が藤野木線
  既に境川開閉所付近天竜南線63号までの建て替え工事が完了したと思われます。
  
  次の工事は東海高下線のJR高下変電所までの建設工事
  考察1だと御坂線の東海高下線
  考察2だと天竜南線の89号か90までの建て替えと、既設御坂線10号までの新設

  どこかで時間をとって確認したいと思います。





   




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